平素より当院をご利用いただき誠にありがとうございます
理事長の岡 宏です。
今年度前半は、何といっても元旦に発生した能登半島地震の対応に尽きます。
私が石川県災害派遣精神医療チーム(DPAT)の統括という立場にあったこともあり、DPATとしての活動に当院のスタッフとともに多くの時間を割きました。
そのため、患者様にはご迷惑をおかけしたことも多かったかと思います。
誠に申し訳ありませんでした。
私は元内科医で、過去に町立富来病院や公立穴水総合病院に勤務し、精神科に転向後は石川県立こころの病院に勤務していた経験があります。
そのため、今回の震災支援には特別な思い入れがありました。1月2日に公立能登総合病院に赴き、活動拠点本部の立ち上げなど、以後約40日間にわたり支援活動に従事しました。
断水の影響で被災者・支援者ともに大きな困難を経験しました。
地域の医療機能は少しずつ回復し、5月末でDPATとしての活動は一旦終了しましたが、まだ十分とは言えず、今後も注視していきたいと思います。
今回得た知見を、今後起こり得る県内外の災害支援に活かしていきたいと考えています。
当院の外来は精神科病院としては珍しく、児童青年期や女性、勤労者の患者さんが多いです。
毎月の新患の3〜4割は児童青年期の方です。
分子栄養療法は特に好評で、栄養不足になりやすい児童青年期に適切な栄養補充を行うことで症状が改善する事例も多く見られます。
また、療育にも注力し、放課後等デイサービス「ゆしゃ」の運営も順調です。
さらに、常勤医3名全員が産業医の資格を持っており、企業や学校において、当院の産業カウンセラーや相談員、
十全のリワークプログラムと協働し、「Mental Care Support Kanazawa(メンタルケアサポート金沢)」として活動しています。
不調を抱える職員の方々の相談も、外来で随時承っております。
入院ではストレス外来と連動し、休息のためストレスケア病棟に入院される方も多いです。
病棟には鍵はかからず、隔離室もありません。今後も県内唯一の全床開放病棟の病院として運営していく方針です。
ご存じかもしれませんが、国は「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」を推進しています。
基本的には自宅で療養し、必要な時に医療や介護を受けたり、就労や社会参加を行い、地域の助け合いや普及啓発、教育を包括的に確立するシステムです。
当院も2003年頃からグループホームを増設し、地域で豊かな暮らしを送ってもらうために、長期入院患者を説得し生活訓練を行うことで退院促進を進めてきました。
現在では、グループホームに加え、2020年に精神科訪問看護ステーション「かのあ」を設立しました。
こちらでは精神疾患の訪問看護を主に行い、メリデン版家族訪問支援など、本格的な支援プログラムも取り入れています。
また、昨年からは念願であった訪問診療を私が担当しています。
8050(9060)問題や引きこもりの問題に対応するため、当院の従来の外来患者以外にも新患の訪問診療を受け付けております。
課題や苦労は多いですが、やりがいのある仕事であり、今後ますます必要となる分野であると確信しています。
県内では精神科訪問診療の担い手が少ないため、今後この分野が拡大することを願っています。
地域医療においては、訪問看護、訪問診療、相談支援事業所(ピースマイルいおうが丘)、そして地域連携室の4つの柱で取り組んでいく所存です。
地域課題解決のご相談はまず当院の地域連携室にご連絡ください。
今後とも、地域に根差した精神医療に、
小規模病院ならではの機動性を生かして真摯に取り組んでいく所存です。
ご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
医王ヶ丘病院理事長 岡 宏